Microsoft広告を活用する上で、オーディエンスターゲティングの理解は成果を左右する重要な要素です。この記事では、個人広告主や広告代理店の方が日本市場向けに広告配信する際に知っておくべき「オーディエンスターゲティングの選択肢」について、体系的に解説します。
オーディエンスターゲティングとは?
オーディエンスターゲティングとは、広告を表示する対象ユーザーを絞り込む機能です。Microsoft広告では、ユーザーの行動履歴、興味関心、企業属性などに基づいて多様なターゲティングが可能です。
主なオーディエンスターゲティングの種類と特徴
Microsoft広告が提供する代表的なオーディエンスターゲティングは以下の通りです。
| タイプ | 特徴 | UETタグの必要性 |
|---|---|---|
| リマーケティング | 過去にサイト訪問したユーザーを再ターゲット | 必要 |
| 類似オーディエンス | リマーケティングリストに類似した属性の新規ユーザー | 必要 |
| 購買意向の強いユーザー | 特定カテゴリで購入意欲が高いユーザー | 不要 |
| カスタマーマッチ | 顧客が再度アプローチできるよう提供したメール アドレスのリスト | 不要 |
| カスタムオーディエンス | 自社データを元に作成したセグメント | 不要(データアップロード) |
| LinkedInプロフィールターゲティング | 業種・企業名などで分類されたビジネス層 | 不要 |
| インプレッションベースのリマーケティング | 広告を閲覧したユーザー | 必要 |
| 組み合わせリスト | 複数のリストをAND/OR/NOTで組み合わせ | 条件により必要 |
インプレッションベースのリマーケティングは下記ブログを参照ください。
「入札単価のみ」 vs 「ターゲットと入札単価」の違い
Microsoft広告では、オーディエンス設定時に以下の2つのモードを選択できます。
- 入札単価のみ:広告はすべてのユーザーに表示されるが、指定オーディエンスのカテゴリに対してパーセンテージ分の入札調整が可能。
- ターゲットと入札単価:指定オーディエンスにのみ広告が表示され、入札調整も可能。
例えば、リマーケティングリストに「ターゲットと入札単価」を設定すれば、過去訪問者のみに広告を表示できます。一方、「入札単価のみ」であれば、全体に配信しつつ、過去訪問者には高めの入札を設定することが可能です。
「ターゲットと入札単価」を選択すると、配信先が選択したオーディエンスのみに絞られますので、ボリュームが大きく限定されることに留意が必要です。
UETタグの役割と設置の有無
UET(Universal Event Tracking)タグは、ユーザーの行動を追跡するためのタグです。以下のターゲティングではUETタグが必須です:
- リマーケティング
- 類似オーディエンス
- インプレッションベースのリマーケティング
- 動的リマーケティング
UETタグが未設置の場合、これらのターゲティングは利用できません。タグの設置は、Microsoft広告の「ツール」→「UETタグ」から行えます。
想定シナリオ別ターゲティング活用例
シナリオ①:既存顧客への再アプローチ
- キャンペーン:オーディエンス
- 使用ターゲティング:リマーケティング
- 設定:ターゲットと入札単価
- UETタグ:必要
オーディエンスターゲティングはネットワーク全体に配信されることからボリュームが大きくなることがあります。リマーケティングで「ターゲットと入札単価」を選択することで、ページ訪問者に絞り込んだうえで配信することでCTRの向上が見込めます。
シナリオ②:新規顧客の獲得
- 使用ターゲティング:類似オーディエンス、購買意向の強いユーザー
- 設定:入札単価のみ
- UETタグ:類似オーディエンスは必要、購買意向は不要
入札単価のみに設定することで、ターゲティング設定を絞ることなく、リマーケティングリストとは異なるユーザー層にリーチすることができます。
シナリオ③:B2B向け広告配信
- 使用ターゲティング:LinkedInプロフィールターゲティング
- 設定:ターゲットと入札単価
- UETタグ:不要
広告カテゴリが求人系、B2B系の場合はLinkedIn ターゲティングを活用できます。Microsoft広告にはない、LinkedIn が独自に持つ顧客情報に基づきターゲティングが可能です。
まとめ
Microsoft広告のオーディエンスターゲティングは、目的に応じて多様な選択肢があります。UETタグの有無や設定モード(入札単価のみ/ターゲットと入札単価)を理解することで、より効率的な広告運用が可能になります。
重要事項の列挙
- オーディエンスターゲティングは10種類以上あり、目的別に使い分けが必要
- 「ターゲットと入札単価」は絞り込み配信、「入札単価のみ」は調整配信
- リマーケティング系はUETタグ必須
- B2B配信にはLinkedInプロフィールターゲティングが有効
- 想定シナリオに応じたターゲティング設計が成果に直結
