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【重要】「目標コンバージョン単価」「目標広告費用対効果」の新規設定が停止:代替戦略と注意点を解説

2025年8月、Microsoft広告において入札戦略の仕様変更が発表されました。これにより、従来の「目標コンバージョン単価(tCPA)」および「目標広告費用対効果(tROAS)」の新規設定が停止され、広告運用者にとって重要な転換点となっています。

本記事では、変更の概要と代替戦略、注意すべきポイントを整理し、日本市場向けにMicrosoft広告を活用する広告主・代理店の皆様に向けて、実践的な対応策を解説します。

目標CPAや目標ROASの入札戦略を使用している広告主は多いはずです。今回の変更事項を把握して今後の運営戦略に反映させてください。

目次

変更の概要:新規設定の停止

Microsoft広告では、以下の2つの入札戦略について、新規キャンペーンへの設定が停止されました。

  • 目標コンバージョン単価(tCPA)
  • 目標広告費用対効果(tROAS)

これらは、新規キャンペーン作成時に直接選択できなくなり、現在使用していないキャンペーンへの再設定も不可となっています。

ただし、既存キャンペーンで上記戦略を使用している場合は、引き続き通常通り運用可能です。ポートフォリオ入札戦略も影響を受けません。

代替戦略:最大化戦略+目標値設定

新規キャンペーンでは、以下の自動入札戦略を使用することで、目標CPA及び目標ROASの設定が可能です。

代替戦略設定可能な目標値主な用途
コンバージョン数の最大化目標コンバージョン単価(tCPA)CPAベースの最適化
コンバージョン値の最大化目標広告費用対効果(tROAS)ROASベースの最適化

これらの戦略では、リアルタイムで入札単価が自動調整され、設定した目標値に近づけるよう最適化が行われます。

注意点:最大化戦略の落とし穴

最大化戦略は非常に強力ですが、以下の点に注意が必要です。

1. 費用の高騰リスク

最大化戦略は「できるだけ多くの成果を獲得する」ことを目的としているため、予算上限に達するまで入札単価が上昇する可能性があります。特に競合が激しいキーワードでは、CPCが高騰しやすくなります。

→ 対策:上限クリック単価(上限CPC)を設定することで、費用の高騰を防止できます。

Microsoft広告としては、広告主にできるだけ多くの費用を消化してもらいたいとの意図があるのかもしれません。

2. 学習期間の必要性

自動入札戦略は、過去のコンバージョンデータをもとに最適化されるため、最低でも月間30件以上のコンバージョン実績が必要です。新規キャンペーンでは、学習期間(1〜2週間)を設け、安定したデータ収集を行いましょう。

過去の実績をもとに目標値を設定し、学習期間中の予算変更は控えるとよいでしょう。なお、目標値は実際の数値より高すぎても、低すぎても最適化が図られません。実数値の上下20%以内の目標値を設定するよう心がけましょう。

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実務対応:設定手順とおすすめ構成

新規キャンペーンでの設定例(検索キャンペーン)

  1. キャンペーン作成時に「コンバージョン数の最大化」を選択
  2. 目標CPAを入力(例:¥1,500)
  3. 必要に応じて「上限クリック単価」を設定
  4. コンバージョン目標をUETタグで正しく設定
  5. 学習期間中は予算・目標値の変更を控える

この構成により、従来のtCPA戦略に近い運用が可能です。

自動入札戦略は、機械学習のため十分なコンバージョン数が必要とされているため、ある程度のCV数を獲得できるまでは、目標CPAと上限CPCは設定せずに運用するほうが良いかもしれません。

参考リンク

Microsoft公式ヘルプページにて、今回の変更と代替戦略の詳細が確認できます。

入札単価の管理は入札戦略を用いて Microsoft Advertising に任せましょう

✍️ まとめ

今回の変更は、Microsoft広告の自動入札戦略の統合を進める流れの一環です。重要事項を下記にまとめました。

  • 「目標コンバージョン単価(tCPA)」と「目標広告費用対効果(tROAS)」は新規設定不可  → 既存キャンペーンでは継続使用可能。ポートフォリオ戦略も影響なし。
  • 代替戦略は「コンバージョン数の最大化」「コンバージョン値の最大化」  → それぞれ目標CPA・ROASの設定が可能。自動入札でリアルタイム最適化。
  • 最大化戦略には費用高騰のリスクあり  → 上限クリック単価(Max CPC)を設定して予算管理を徹底。
  • 学習期間が必要(目安:月間30CV以上)  → 安定したデータ収集のため、初期運用では予算・目標値の変更を控える。
  • 新規キャンペーンでは最大化戦略+目標値設定が基本構成  → 従来のtCPA/tROASに近い運用が可能。

Microsoft広告の仕様変更は、運用者にとって柔軟性と注意力が求められる局面です。本記事を参考に、最適な入札戦略を選択し、成果とコストのバランスを見極めながら運用を進めていきましょう。

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この記事を書いた人

広告運用コンサルタントとしての実務経験をもとに、マイクロソフト広告の配信パフォーマンス改善に特化したブログを配信。広告運用の「なぜ?」を解きほぐす現場目線のリアルなノウハウを届けます。

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